この回では低出力レーザーがどうして育毛に効果があるのかを科学的な説明で知るとともに、へアマックスが行った臨床研究の結果を詳しく解析し、公式式サイトでうたっている”93%の育毛成功率“がデータでも本当に確認できるのかを検証します。

低出力レーザーがミトコンドリアを活性化

低出力レーザーは通称LLLT(Low Level Laser Therapy)と呼ばれ、手術で使われる高温高出力レーザーと違い、熱の作用ではなく光の作用を利用する治療法です。

へアマックス社によると “低出力レーザーには、細胞を促進させる効果が”あります。これは、ハンガリーの研究でネズミの背中に低出力レーザーを照射すると、毛が生えてきたことから発見された効果です。

もっと詳しくいうと、低出力レーザーは身体にあるミトコンドリアという細胞の中の器官を活性化させ、 ATP(アデノシン3リン酸)という細胞の成長に必要不可欠な栄養分を作り出すパワーがあります。

つまり、頭皮に低出力レーザーを照射して大量のATPを作り出し、毛のもととなる細胞(毛母細胞)を活性化させれば、髪の毛が生えてくるというわけです。

実際に低出力レーザー治療は、育毛以外にも行われており、例えば、肩こりや捻挫、リウマチの治療にも使用されています。

育毛に効果があるとされている低出力レーザーは640~660㎚(ナノメートル)で、皮膚に3㎜程度浸透。発毛に関係する毛母細胞に内包された毛乳頭は頭皮から2~4㎜のところにあるため理屈にかないますね。

低出力レーザーと毛乳頭
Source:https://www.regenepure.com/

へアマックスによる臨床研究

へアマックスが行った主な臨床研究とその結果の概要は以下の通りです。

▪2003年に発表の臨床研究
レーザーコーム(ブラシ型の初期の製品)を使い28人の男性と7人の女性を対象に26週間(6カ月)に渡り行われる。

  • レーザーコームに育毛効果
  • 男女ともに髪の毛の強度が向上
  • 頭頂部と生え際の両方に効果

▪2009年に発表の臨床研究
レーザーコームとレーザーコームに似せた偽の機器の比較実験が110人の男性を対象に26週間(6カ月)に渡り行われる。

  • レーザーコームを使用した被験者の生え際に相当の育毛効果
  • レーザーコームを使用した被験者の自己診断により頭部全体に育毛効果があったと確認
  • 顕著な副作用は認められない

▪2014年に発表の臨床研究
レーザーコームを2カ月~24カ月使用した21人の女性と11人の男性が対象

  • 経口(フィナステリド)、外用(ミノキシジル)の育毛剤にレーザーコームを追加使用した人の88%に育毛効果
  • 経口、外用の育毛剤使用停止後も100%の人になんらかの育毛効果
  • 育毛効果は早い人で使用3カ月目から始まる
  • 育毛効果は使用開始24カ月後でも確認される
  • 顕著な副作用は認められない

男性の頭頂部

男性の頭頂部
Source:https://cdn.shopify.com/

男性の生え際

男性の生え際
Source:https://cdn.shopify.com/

女性の頭頂部

女性の頭頂部
Source:https://cdn.shopify.com/

女性の生え際

女性の生え際
Source:https://cdn.shopify.com/

その他にも男女別の使用前と使用後のさまざまな事例の写真が公式サイト(英語版)に載っているので参照にしてください。
https://www.hairmax.com/pages/before-after

育毛剤を使っていない被験者を対象にした大規模な臨床研究

へアマックスの主な臨床研究の結果を書いてみましたが(参照:HairMax  Clinical Research & Results https://www.hairmax.com/pages/clinical-research-results)、どの研究も育毛剤を使用している被験者が中に混ざっており、へアマックスを単独で使用した場合の臨床研究があらためて行われ、これが最新の臨床研究として改めて2014年に公表されているので少し詳しく検証してみましょう(日本の公式サイトはこの臨床研究の結果のみを載せています)。

対象者

  • 脱毛症状のある25~60才
  • 女性188人、男性146人
  • 過去6カ月に経口、外用の育毛剤だけでなくホルモン剤やステロイド薬など髪の毛に作用があるとされている薬を使用していない
  • 過去5年に頭皮に悪性腫瘍がない
  • 頭皮に感染症や慢性の皮膚病がない
  • 過去に傷の治りが悪かった経験がない
  • 頭皮にケロイド状の傷がない
  • 甲状腺の異常など髪の毛に影響がある病気がない
  • HIV(エイズウイルス)に感染していない
  • ペースメーカーなどの埋め込み式の医療機器を使用していない
  • 過去1年にアルコール中毒やドラッグ中毒の症状がない
  • 慢性の病気がある場合は試験者が個別に判断
  • 妊娠しておらず、臨床研究期間中にも妊娠の予定がない
  • 光線過敏症がない
  • 植毛をしたことがない
  • 過去1年に放射線治療や抗がん剤治療を受けていない
  • エクステやタトゥーをしていない
  • 髪の毛の長さが1.25cm以上
  • 色の薄いブロンドでない
  • 脱毛が水色でハイライトされた症状に当てはまる

ヘアマックス男女対象者
Source:https://aestheticsandhairclinic.com/

方法

1.へアマックスのレーザーコーム3機種とそれに似せた偽の機器の計4種類をラッピングして、外見だけでは区別が付かないようにして被験者に提供するダブルブラインドテスト方式(二重盲検法:観察者のバイアスの排除、被験者のプラセボ効果の排除を目的とし、双方に薬や治療法の性質などを不明にして行う)

2.週3日(間隔を空けて連続使用しない)26週間、頭皮全体に使用

3.機種によって指定の使用時間が違うので個別に指導し、使用時間を厳守してもらうため使用記録を毎回つけてもら

4.8、16、26週目にオフィスに来てもらい経過や使用記録を報告

5.使用前の脱毛症状と比べるため、16、26週目には髪の毛を切り取り状態を調べ、さらに同じ個所の髪の毛の密度を調べるために精密な頭皮のデジタル写真を撮影

6.観察者はどのような被験者にどんな治験が行われたのかを知らされずに、デジタル写真を解析

結果の概要

途中で追跡できなくなった被験者、対象者としての条件を満たさなくなった被験者を除く女性122人男性103人のデジタル写真を使い分析しました。

26週間後の男性(左)女性(右)の被験者の1㎠当たりの平均本数(左の青がへアマックスを使用した人、右の緑が偽物の機器を使用した人)

ヘアマックス結果

画像のように1㎠当たり男性は平均で21.6本増毛、女性は平均で20.5本増毛していることが分かります。

その他にも

  • 被験者の年齢や性別、またレーザーコームの機種を問わず髪の毛の密度が増す
  • 多数の被験者が脱毛症状の改善(治験前より脱毛が減少)、生えてきた髪の太さが増す、全体的な頭髪の増加などを実感
  • へアマックスを6カ月使用した時の育毛効果は同じく6カ月ミノキシジル5%を使用したり、フィナステリド1㎎を飲んだ時の効果と同等
  • 頭皮の乾燥やかゆみなどが出た被験者はいたが、使用を中止しなければならないほどの副作用は報告されず

という結果が発表され、育毛剤を使わず単独でヘアマックスを使用した場合でも十分に効果があることがわかりました。

”93%の育毛成功率“の真偽

ただここで問題になるのが、公式サイト(英語版)では上記のように主な臨床研究の結果の概略は記載されているのに、日本の公式サイトのように“93%の育毛成功率”とはどこにも書かれてありません。

へアマックスに関するさまざまなブログやサイトにも、”93%の育毛成功率“という数値を検証しているものがなかったので、アメリカ国立衛生研究所に記載されている公式な臨床研究のデータからこの”93%”が本当に証明できるのかどうかを探ってみました。

ヘアマックス結果(国立衛生研究所)
Source:https://www.ncbi.nlm.nih.gov/

左は女性(上二つ)と男性(下二つ)の機種別、観察時期別(16週目と26週目に写真撮影)の髪の毛の密度の変化のグラフ

右は女性(上二つ)と男性(下二つ)の機種別、1㎠当たりの増毛本数別(髪の毛が5本以上減少<5本から0本減少<0~5本の増加<5~20本の増加<20本以上の増加)のグラフ

右のグラフから5本以上の増毛があったのは女性95.5%男性84%、という数値が計算できるのですが、この数値を足して二で割っても男女の平均が“93%”にはなりません(89.75%です)。

増毛数が0~5本という人も含めると、増毛した人は女性99%男性96%にのぼりますが、これも男女の平均が”93%“にはなりません(97.5%です)。

ところが、この二つの平均値89.75%と97.5%を足して二で割ると93.625%という数値が出てくるのです。

なぜへアマックス日本の公式サイトが5本以上の増毛があった人の数値約90%か、何らかの増毛があった人の数値約98%を使わないのか謎ですが、”93%の育毛成功率“というのはグラフから読み取れる正しい数値なので、日本のサイトでの宣伝文句は誇張した表現ではありませんでした。

まとめ

へアマックス社の“93%の育毛成功率”は疑り深い当サイトの運営者の私が計算しても本当だった、ということがデータから証明されましたが、被験者の実感はどうだったのでしょうか?

【その3】ではへアマックスの“もう一つの事実”を書いてみたいと思います。