脱毛予防薬プロペシアの効果と役割を今一度復習してみよう~発毛薬ではありませんので過度の期待は禁物です
この記事に書いてある事
  • プロペシアで髪の毛は生えてきません
  • それでも育毛剤よりもプロペシアを先に飲むべき理由とは
  • プロペシア副作用都市伝説を検証してみる
  • 結論!新薬ザガーロよりも旧薬プロペシアを飲むべき

ナース辻おはようございます。当ブログkaminoke.love(カミノケドットラブ)のナース役で、司会進行を務めさせていただく泉です。

この記事では、多くの人が誤解しているプロペシアについて、専門的かつできるだけ平易な言葉で解説していきます。

プロペシアは脱毛予防、つまり薄毛(AGA)の進行を抑える飲み薬なので、プロペシアを飲んでも髪の毛が生えてくるわけではありません。

ただし生えてこないからと言っても、プロペシアはAGA治療の中でも最も重要な位置を占める薬です。副作用に注意しつつも飲むのは必須。AGA治療のスタートはこの薬から行うのが鉄則です。

薄毛治療のベース中のベースであり、この薬を飲むか飲まないかで大きく薄毛戦略が変わってくるのでしっかり一緒に勉強していきましょう。

ここから先は、AGA治療歴25年でプロペシア使用歴も10年を超えた「プロ患者」大原さんと、処方する側である薄毛対策専門の姫野先生と一緒に解説していきます。

プロペシアの概要~世界的製薬会社メルク社の錠剤タイプの医薬品

ナース泉ナース泉

姫野先生よろしくお願いします。まずプロペシアの概要から説明してください。

姫野先生姫野先生

分かりました。少し専門的な話も含めて説明しますね。

姫野先生解説
プロペシア(錠剤)は、世界的な製薬会社として知られるメルク&カンパニー社(以降メルク社)の商品で、日本国内ではメルク社の日本法人であるMSD株式会社(旧万有製薬)から発売されています。

すでに薬としての特許が切れているため、ジェネリック医薬品(成分が同じ安価な薬)が発売されています。プロペシアの代表的なジェネリック薬として「フィンペシア」という商品が、オオサカ堂やアイドラッグなどの個人輸入代行店を経て日本でも入手可能です。

finpecia フィンペシア
※フィンペシアは色々と問題のある薬なので、別途記事にしていきます

プロペシアは、元々は男性器の近くにある前立腺(ぜんりつせん)と呼ばれる器官の肥大(前立腺肥大症)を抑えるために開発された、プロスカーという薬が起源です。

プロスカー Proscar

前立腺肥大症の治療薬として投与していた患者の髪の毛が太くなるという事実に気づいたメルク社がAGAとの関連を研究していった結果、前立腺肥大症とAGA(男性型脱毛症)の共通の原因がジヒドロテストステロン(DHT)という男性ホルモンであることを突き止めました。さらに開発を進め、1997年に日本の厚生労働省にあたるアメリカのFDA(アメリカ食品医薬品局)から正式にAGAの脱毛予防薬として認可され、「プロペシア」という名前で商品化されたという経緯があります。

AGAの仕組みを簡単に説明します

抜け毛を誘発しているのはDHT(ジヒドロテストステロン)という「男性ホルモンの進化最強版」。男性ホルモン(テストステロン)が5αリダクターゼⅡ型という酵素によって一定数がDHTに変換され、そのDHTが抜け毛を誘発するというのがAGAのおおまかな正体です。前立腺では脱毛の代わりに前立腺が肥大し頭皮では髪の毛が抜ける、という症状の違いはあってもDHTが原因なのは共通しています。

プロペシアをいくら飲んでも発毛はしませんが、飲むのは必須です。

記事の冒頭でも言及し、ちょっときつい言い方で恐縮ですが、「プロペシアは薄毛治療のためには飲まないと話にならない薬」だと肝に銘じてください。

姫野先生姫野先生

大原さん、プロペシアはもう10年以上飲んでいるそうですが、やめたこともあるのですか?

プロ患者大原さんプロ患者大原さん

はい、一時期やめてました。そしたら見事にAGAが大幅に進行して後悔しました。この薬は濃度が薄いやつでもいいので飲み続けるのは必須ですね。

大原解説プロペシア歴10年以上になる私が患者の立場と経験を元にお話します。

副作用が多少ある薬(後述)なので、医者ではない私がプロペシアを無責任に勧めるのもどうかとは思います。ただAGAが進行性症候(放っておくとどんどん悪化する)である以上、まずは抜け毛予防薬であるこのプロペシアを治療のベースに置いて抜け毛の進行を抑えておかないとAGAグランドラインがどんどん下がってしまうのです。

そうなると、運良くあなたの頭皮に相性抜群の育毛剤と出会って発毛しまくったとしても、発毛の限界量というのは現時点の残毛量の10%程度なので「焼石に水」になります。

AGAが進行すると健康な状態で10万本と言われている髪の毛のうち4万本くらいがあっと言う間に抜けていき、残り6万本くらいに激減。回復(発毛)する限界はその6万本に対して10%、つまり6,000本程度ですから、「少し濃くなったかな」程度で終わってしまいます。

そうならないよう、「もしかして俺、薄くなった?」と思ったらできるだけ早くプロペシアだけは飲み始めてほしいんです。そして、抜け毛の量が減って「青春よ再び!」となったとしても油断することなく服用を続けて欲しいんです。私のような惨劇にならないためにも。

まずは育毛剤から始めるんでしょ? ← 違います。プロペシアが先で育毛剤は後です

大原解説AGA治療あるあるで、「最初にやるべきなのは育毛剤ですよね?」という初心者の誤解があります。私もこれに見事に引っかかり無駄な、というかとてももったいない時間を過ごしてしまいました。

正解を先に言うと「プロペシアが先で育毛剤は後」。これは、絶対です。

なぜ「育毛剤から治療をスタート」という誤解が、さも常識のように広まっているのでしょうか?理由が2つあります。

  1. そもそも昔はプロペシアがなく薄毛治療は育毛剤で行うしかなかった
  2. 売れやすいのでアフィリエイトサイトを中心に育毛剤を前面に推すサイトがあふれている

①については、ある意味仕方がないと思います。プロペシアが日本に入ってきたのはここ10年くらいで、効く効かないは置いておいて「薄毛治療の歴史は育毛剤の歴史」と言っても過言ではありません。ビジネス市場は今現在も育毛剤中心で形成されているので、いくらプロペシアが大事だからといっても「薄毛治療=育毛剤でしょ」と我々が思ってしまうのは仕方がないことです。

問題は②です。お金儲けが悪いとは言いませんが節度は保ってほしいなと思います。少し勉強すればわかるはずなんです。育毛(発毛)よりも脱毛予防のほうが優先順位が高いことは。脱毛予防をやらない薄毛治療は穴が開いた船と一緒。浸水してきた水をすくってもすくっても、開いた穴からどんどん水が入ってくるのと理屈は同じです。

船底に穴が開いた船 泥船

それが分かっていてなぜ育毛剤を先に勧めるのか本当に理解に苦しみます。私だってお金は欲しいですよ。欲しいに決まってる。なにせAGAだけで1,500万円以上散財したし、今は次世代AGA医療に投資し始めたのでいくらでもお金は欲しいです。

でも、薄毛の悩みってめちゃくちゃ深いじゃないですか。人の悩みに付け込んで偽の情報で私らを騙すなんて本当に不誠実だと思います。

  • プロペシアが先で育毛剤は後
  • 経済的に厳しいなら治療はプロペシアだけに絞る

これがAGA治療の大原則なのので忘れないようにしてください。

日本毛髪科学協会のセミナーでは「プロペシアの副作用はほぼ聞いたことがない」と言われます

大原解説公益社団法人日本毛髪科学協会という、内閣府認定の公的組織があります。

「毛髪診断士」という資格などを発行している非営利団体で公共性が高く、かつ日本最大の髪の毛専門の協会です。私もここに所属していて毛髪診断士という資格を持っています。

ラファエル 毛髪診断士の証明書
注)私はユーチューバーではありません

中野サンプラザなどで定期的に医学博士や順天堂大学の毛髪専門医を呼んでセミナーが開催され、プロペシアに関しては「副作用は気にするレベルでは発症しない」と教えられます。

私自身も、もういい加減10年以上プロペシアを飲み続けていますが、副作用らしきものが出たことは一度もありません。

この薬(プロペシア)は、前述したとおり元々は前立腺肥大症の治療薬で、前立腺肥大症の患者にはフィナステリドというプロペシアの主成分が5mgとか10mg入ったものを処方しますが、プロペシアはその1/10の1mgが限界濃度で、治療スタート時は0.2mgのものが処方されます。
※無知な医者はいきなり0.5mgのプロペシアを処方するので注意が必要です

とはいえ、全く副作用が出ないのかというと、それも事実に反します。なぜかというと、そもそもの話ですが副作用が無い薬は医薬品とは呼ばないからです。
※副作用が出ないのものはサプリメントや健康食品と呼びます

プロペシアに限らず、今世の中に出回っている医薬品は全て副作用があります。医薬品を飲むと気付かないだけで99%何かしらの副作用が出ているんです。

姫野先生解説
大原さんからバトンタッチして私から説明しますね。副作用の一番身近な例は風邪薬や花粉症の薬です。飲むと眠くなりますよね?風邪薬や花粉症の薬を飲んださいに出る眠気は薬の副作用です。

逆に、眠気の出にくい風邪薬は飲んで効き目が強いでしょうか?強くないですよね。眠気という副作用を極力出さないようにするためには成分や濃度を落とす必要があり、当然風邪に対する効き目は弱くなります。

花粉症のイメージ

プロペシアも同じです。ごく稀(1%未満)にEDや性欲減退、精子の奇形などが出ることがありますが、副作用が1%の薬は、探してもまず見つかりません。たとえば風邪薬の眠気という副作用発生率は90%近いことを考えると、1%というのは「副作用を気にするレベルではない、」と言っていいと思います。

プロペシアのうつ病リスクについて

大原解説姫野先生ありがとうございました。再びAGA歴25年の私から説明します。

薄毛専門とうたっているウェブサイトを覗いてみると、「プロペシアは危ない。うつ病になる」とか「肝機能をやられる」というくだりをたまに見かけます。

うつ病については私も色んなAGA専門医にインタビューしており、見解が真っ二つです。

  • うつ病のリスクあり
  • 薄毛で元々うつ気味だっただけ

私の見解としては後者です。薄毛になると毎日が冬の新潟の日本海沿い地域の天気(一日中雲が出てどんよりしている)みたいになります。

ショックですからね、薄毛は。ショックすぎて落ち込んで、朝起きて枕元の抜けた髪の毛で絶望し、鏡を見ては「夢であって欲しい」と思うじゃないですか。もう年中軽いうつ状態。私もそうです。

なので、因果が逆だと私は思っています。薄毛が原因でうつ気味になっているだけであって薬が原因でうつになるわけではないと。ただ「プロペシアがうつの原因ではない証拠は?」、と問われると「証拠はありませんが、、、」としか答えられません。
※そのような主張に対しては「それでは、プロペシアが原因でうつ病になった証拠は?」と反論しかかりますが言い返しません。豆腐メンタルなので”(-“”-)”

肝機能をやられると聞いたことがあるが筆者的には特に問題なし

大原解説もう一つ、プロペシアの副作用としてたまに聞くのが肝機能障害です。これもプロペシアが原因で起きるというエビデンスを見たことはありません。私自身10年以上飲んでいて肝機能に問題が出たことがないので「リスクなし」と言いたいところです。

肝機能障害は、健康診断時の血液検査の数値を見れば自己管理できます。

副作用にビビってプロペシアを飲まないという選択肢をとるのはもちろんあなたの自由です。でも、薄毛のままでいいんですかっていう話です。薄毛というのは肝機能障害以上に、ストレスによって体をむしばんでいきます。そのことを冷静に考えたうえで服用するかどうか自己判断してみてください。

私は、肝機能障害やEDリスクなどのリスクに比べて薄毛のストレスのほうがはるか高いと思っているので、プロペシアを今も飲み続けています。

最近出てきた類似薬ザガーロよりプロペシアをおすすめしたい理由

ザガーロ

姫野先生解説
名前くらいは聞いたことがあるかも知れませんが、数年前にグラクソスミスクライン社から、プロペシアとほぼ同じ効能を持つザガーロという新薬が販売されました。

ザガーロも元々は前立腺肥大症の薬から発祥していて、プロペシアとの大きな違いは薄毛の原因である5αリダクターゼⅡ型酵素の阻害に加え、「Ⅰ型」についても阻害する薬です。

細かい説明しても飽きると思うので、事実だけ書くと、AGAに関係があるのは5αリダクターゼⅡ型であってⅠ型ではありません。薄毛専門サイトを標ぼうしているアフィリエイトサイトなどを読んでみると、「ザガーロは5αリダクターゼⅠ型もやっつけるからプロペシアより効果が高い」と書いてあることが多いです。

さらに日本最大の患者を抱える某AGAクリニックの公式サイト上でも、5αリダクターゼⅠ型がAGAにさも関与しているかのような書き方をしてお客さんを釣っています。

パソコンを操作する人

こんな時は他国の情報を見ると参考になります。

まず、ザガーロが認可されているのは韓国と日本だけで、薬の認可が厳しいアメリカでは未認可です。ザガーロの販売元であるグラクソスミスクライン社の本社があるイギリスでも認可されていません。

理由は5αリダクターゼⅡ型がAGAの原因なのに、5αリダクターゼⅠ型も同時にやっつけてしまうことによる副作用リスクのデータが積みあがっていないからです。

5αリダクターゼⅠ型もⅡ型も人間が生きていくために必要だから体内にあります。頭部においては5αリダクターゼⅡ型は悪さをして薄毛を誘発しますが、精子の生成に深く関与しているし勃起するために5αリダクターゼⅡ型は必要です。少しの阻害ならOKですがやっつけすぎは良くありません。

ザガーロは、5αリダクターゼⅠ型を無意味に阻害してしまう薬であるため、体への影響度合いが分からないのです。よくこんな薬を厚労省が認可したなあと私は思いますが、利権の問題等々、製薬業界は闇が深いので、私があずかり知らないところで政治決着があったのでしょう。

珍しいことですけどね。アメリカで未認可なのに日本で認可を出すなんて。

というわけで、私は医師の立場としてザガーロは怖いので患者さんには処方をすすめていません。それに同業の医師に聞いても、プロペシアとザガーロの効果の差は「正直よく分からない」と言っている方がほとんどです。どちらも脱毛予防薬なので「抜けてない本数の差」を数えるのは不可能ですしね。

明確な効果の差がないのであれば、副作用リスクがより低いプロペシアを飲むべきというのが私なりの結論です。

まとめ

泉南姫野先生、大原さんありがとうございました。長くなってしまったので簡潔にまとめます。以下のことだけ覚えていただければ十分です。

  • AGA治療では育毛剤よりもプロペシアのほうが優先順位が上
  • 副作用は気にするレベルではない
  • ザガーロは韓国と日本でしか認可されていない薬なので安全なプロペシアを選択すべし

プロペシアは飲めばフサフサになる薬ではありません。薬効は「脱毛予防」なので、あくまで薄毛の進行を止めることが目的です。効果が見えにくいので飲みがいの無い薬ですが、AGA治療におけるベース中のベースなので、最終的に飲まないという結論を出したとしても、必ず一度は服用を検討して欲しいと思います。