
- アスク井上は先生と会話が成立せず希望した植毛を行えない
- 倫理面で一抹の不安が残る「準大手」親和クリニック
- ロボット植毛は未来の技術なので今はまだ「見送り」が賢明
- 目視できない頭皮下をカットするFUEでドナーロス率が高くなるのは当たり前
こんばんは。当ブログkaminoke.love(カミノケドットラブ)のナース役で、司会進行を務めさせていただく泉です。
自毛植毛のことを調べていくうちに「親和クリニック」「アスク井上クリニック」という2つのクリニックの名前と、美容整形クリニックなどを中心に採用が進んでいる「ロボット植毛」、これらのワードがあなたの脳裏に残っているのではないでしょうか。
先に結論をお伝えすると、当ブログでは親和クリニックもアスク井上クリニックもロボット植毛も「どれもオススメできない」という立場を明確にしています。
理由は下記の通りです。
- 親和クリニックは広告宣伝に問題あり
- アスク井上クリニックは執刀医の「聞く耳」に問題あり
- ロボット植毛はドナーロス率と傷跡の大きさに問題あり
今回の記事では、いつもと違って姫野先生だけではなく、「プロ患者」大原さんにも解説に加わっていただきます。
大原さんは、自ら植毛を複数回経験し、全国にある植毛クリニックとAGA系クリニックすべてを取材して回った強者(つわもの)です。
植毛業界やAGA業界で「あいつにはかかわるな」が合言葉になりつつあるほど業界の裏の裏まで詳しい大原さんの情報は、きっとあなたにとって役に立ちます。是非参考にしてください。
アスク井上は執刀医と会話が成立せず希望した植毛を行えない

姫野先生。まず、アスク井上クリニックの井上院長がなぜオススメの植毛医ではないのか教えてください。

患者の話をほとんど聞かず自分の考えを押し付ける傾向に歯止めがかからなくなってきたからです。腕は良いのにもったいないと思います。

「植毛界のレジェンド」という言葉があります。
これはアスク井上クリニックの阿部事務長が考えた、井上院長をブランド化するため考えた宣伝用フレーズですが、決して「自称レジェンド」というわけではありません。
植毛業界内でもレジェンド的位置づけの先生であることは私も認めます。
井上先生は、植毛クリニック最大手のアイランドタワークリニック初代院長で、「ダイレクト法」という独自のFUE法を生み出し、そのFUE法を国内に広めた功労者です。
日本の植毛医の半分近くが井上先生の弟子か孫弟子と言われるほど業界内で影響力がある先生で、弟子の指導に熱意をかけてこられた生き様には一目置かざるを得ません。まさに植毛職人です。
Source:http://ninai.med.okayama-u.ac.jp/2015/10/3066/
しかし、ご自身が開発された日本版FUEとも呼べるダイレクト法と、井上先生独自の生え際のデザインに固執するあまり、いつしか患者の声を聞かなくなってしまいました。
このあたりは「プロ患者」大原さんが詳しいので聞いてみましょう。

大原さんは井上先生をよくご存じだと思います。ストレートに聞きますが最近の井上先生はいかがですか?

以前は私も井上先生をイチオシしていた時期がありました。今は「う~ん」ですね。患者と対話しないんですよね。ご自身の腕と経歴を過信しすぎるというか。
井上先生が現在行っているFUE(i-SAFEという名称)は、アイランドタワークリニック時代のダイレクト法と少し違いがあります。毛根採取時に「吸引」という一手間かけたテクニックが使われるのです。
残念ながらFUEという植毛法は、目視できない頭皮下を切開していくという「構造的な弱点」を抱えています。
毛根は、頭皮の中で曲がって根を張っていることが多く、どの方向に曲がっているかも不規則なので、そもそも毛根切断率が高い植毛法なのです。
Source:i0.wp.com/hairsite.com/
その弱点を少しでも克服するために井上先生が編み出したのが「吸引」。
採取時に掃除機のようにチューブパンチに空気で吸引圧をかけることで毛根を引っ張りながらまっすぐにし採取するのが「吸引」です。この手法で植毛を行っているのは世界でも井上先生だけ。
※一時期親和クリニックでも「吸引」を研究していましたが採用には至たらず
アイデアとしては面白いなと思ってました。しかし臨床的な質問をすると、「私は吸引をしているから毛根切断率が低い」以上の根拠を示してくれません。
頭皮の表面に出ている髪の毛を吸引すると頭皮の下に埋まっている毛根部分までまっすぐになり、毛根切断率が低くなるという井上先生の主張は、論理の飛躍があります。臨床データを公開してくれないことには、その主張を鵜呑みにはできません。
また技術以前の問題として、井上先生はご自身の主張が強すぎて患者は言いたいことが言えず対話にならないのです。
こういうことがありました。
私が以前に運営していた薄毛専門サイトに「アスク井上クリニックについてはどう思われますか?」とネット経由で相談が来たんです。
私は「井上先生は技術的には特に問題ないと思いますが、コミュニケーションをとるのが大変難しい先生なので、あなたがよほどの知識と井上先生に推し負けない強いハートがない限りおすすめできません」と回答。
その方から数か月経過して以下のような報告がありました。
「大原さんの忠告を無視してアスク井上で植毛してしまいました。後悔しています。僕は右半分が薄く、そこを集中して植えてほしいと何度も訴えたのに、生え際のデザインのことばかり言われ、言われるがままに植毛したら希望した箇所が薄いままで、今クレームを入れているところです。」
と。
「生え際をきれいにデザインすれば見栄えがよくなる」という井上先生の主張は間違いではないと思いますが、患者側からすると、他人からどう見えようと右半分をなんとかして欲しく、結果として仕上がりに満足がいきませんでした。
※この患者さんは最終的に「出禁」にされてしまい、阿部事務長がお相手をしているようです
患者側が井上先生のアドバイスを聞き入れている限りは会話もスムーズにいきます。しかし、井上先生の主張に異を唱え意見を差し込むと、とたんに雲行きが怪しくなります。
もちろんこれは、私の狭い交友範囲内での出来事なので「万事が万事」というわけではありません。
ただし、間接的に聞いた話でも似たようなケースを複数回聞いたことがあったので、
「アスク井上クリニック(の井上院長)は、腕は悪くはないけれど対話が成立しにくいので、希望したような仕上がりにならない可能性があります。積極的におすすめできるクリニックではありません」
というのが私の個人的意見です。
倫理面で一抹の不安が残る「準大手」親和クリニック

大原さん、続いて親和クリニックについてうかがいます。ずいぶん戦ってきましたよね、こことは。

戦いましたよ~。たくさんの証拠を持っているので私にはもう何も言ってこないと思いますけどね。
知り合いの週刊誌記者も巻き込んでるし、係争に関わることなので詳細についてはここでは書けませんが、親和クリニックは販促部門がぶっ飛んでいて、広告宣伝や公式サイトの記載内容が控えめにいっても「良識外れ」です。
- FUEは傷跡が目立たない
- 一度に5,000グラフト以上の大量植毛を行える
- 高密度植毛
広告宣伝で親和クリニックがアピールしている上記の事は違法ではありません。しかし、倫理感があるまともな植毛医なら絶対に手を出さないものばかりです。
親和クリニック自体はしっかりとした技術を持っていると思うし、「行ってはダメ」というクリニックではありません。つまり、医療サイドはまともです。
しかし、親和クリニックは「医販分離」といって、医療と販売促進部門を院内分離して経営しています。
理事長は恩田総院長ですが、裏には脱毛サロンも経営している「真のボス(スポンサー)」がいて、そのボスが雇っている販促部門が暴走しているのではないでしょうか。
医販分離という言葉をきくと、軍隊でいうところの文民統制(シビリアンコントロール)のように、軍の暴走に歯止めがかかりそうな気もしますが、親和クリニックにおいては、販促部門の暴走という意図しない結果を呼んでしまっています。
親和クリニックの実質的な前身と言える「新宿ノアクリニック」が販促部門の暴走でつぶれてしまったというのに、まだ懲りていないのか、医師の腕は悪くないだけに非常にもったいないです。
ただし、以下のことをよく頭に叩き込んでさえいえば親和クリニックで植毛することは全く問題ないので、羅列しておきます。
ロボット植毛は未来の技術なので今はまだ「見送り」が賢明

大原さんは以前、ロボット植毛を受けようと思って相当勉強した上で見送られたそうですね。見送られた理由はやはりドナーロス問題ですか?

そうです。ドナーロスについてあらゆるデータを入手して「これは論外だ」と思い踏みとどまりました。
ロボット植毛についてはあまり触れたくないです。触れたくない。。。
触れたくない理由は単純です。ロボット植毛に経営の全てを賭けている植毛クリニックが複数存在しているのでクレームが面倒くさいからです。
まあとはいえ、大量に裏データを持っていて戦ってもなんとかなるので書ける範囲で解説していきます。
ストレートに言うと、医療ロボットを使用しての植毛は時期尚早(今は手を出すには早すぎる)です。ドナーロス率がひどすぎて話になりません。ドナーロス率は「最低でも」3割を超えると思います。
ロボット植毛を採用している植毛クリニックの公式サイトを見ると、
- うちは最新型植毛ロボットを導入している
- AIによって人間より正確に植毛できる
などの宣伝文句が並んでいますが、頭皮下で毛根の角度が不規則に曲がっている以上、チューブパンチ(ニードル)をまっすぐにしか挿入できないロボット植毛で、ドナーロス率が高くなるのは自明の理です。
Source:https://i2.wp.com/hairsite.com/
医療の世界にロボットやAIがどんどん入ってきていて、一部の外科手術(植毛以外)ではロボットのほうがすでに正確な手術をすることは事実です。ただそれは、ロボットが「切開する場所を目視できる場合」に限ります。
自毛植毛のように、頭皮の中に髪の毛が埋まっていて、かつ、不規則に曲がっている毛根の角度を、頭皮の表面から見て判断できる人はいないし、ロボットにももちろん無理です。
目視できないし判断もできないから手で行うFUEよりも太い直径のニードルで毛根を採取するのが植毛ロボットです。直径が太いと傷跡も大きくなるので、私のような医師でない人間が見ても、
「あ、これはロボットで植毛したな」
というのが一発で分かってしまうようなヒドい仕上がりになってしまいます。
10年後20年後は分かりません。植毛ロボットにMRIのような技術が組み込まれて頭皮の中も透けてみえるようになれば人間よりも植毛ロボットのほうが正確に手術できる可能性はあります。
しかし、少なくとも今はまだ人間の勝ちです。
ロボット植毛「も」行っている湘南美容クリニックの長井先生が「僕のほうがロボット君より植毛はうまいですよ」とはっきり認めていることからも、人間のほうがロボットより技術が高いことは疑いようがありませんし、FUEの名手コール医師が以下のようなことを言っています。
「ロボット植毛はニードルの径が大きいため傷跡がひどい。そもそもロボット植毛を導入しようとしているクリニックは自分でFUEを行なう技術がないか(あるいはマスターする意欲がない)植毛ロボットを広告塔として利用したいかのどっちかだ。」
目視できない頭皮下をカットするFUEでドナーロス率が高くなるのは当たり前

姫野先生、FUEと呼ばれる植毛法の概要を簡単に説明してください。

1つの毛穴から平均2本前後生えている髪の毛をチューブパンチと呼ぶFUE専用の医療器具で後頭部から「くり抜く」のがFUE植毛。

「チューブパンチ」「マイクロチューブ」「ニードル」等々、各クリニックにって呼び方に若干の違いはありますが、下記写真のような専用医療器具でAGA(男性型脱毛症)の影響を受けない元気な毛根を後頭部から採取していくのがFUEと呼ばれる植毛法です。
Source:i0.wp.com/hairsite.com/
先端がシャーペンの芯の先(直径0.8から1.0mm)のように空洞になっていて、高速回転しながら頭皮をカッティングしていきます。
根を張る方向を目視できないので採取時に一定数切断してしまう
FUEは、解決できない構造的な弱点を抱えた植毛法です。
自毛植毛では、採取時に毛根を切断させてしまうと、高確率でその毛根(ドナー)は死んで(ロス)しまい、前頭部などに移植しても生着しないので、毛根を切断することなく上手に採取するのは植毛医の最大の腕の見せ所です。
ここで、木を想像してみてください。木は地面に対して垂直にまっすぐ生えていたとしても、「根っこ」は必ず曲がって生えていますよね。そして、地面の中で根っこがどの方向に埋まっているかを地上から判別できる人はいません。
髪の毛も同じで、頭皮内で毛根がどの方向に根を張っているかはどんな熟練医でも判別できないのです。
下記画像を参照ください。
Source:http://internationalhairstudio.com/hair-transplant/
この画像では髪の毛の角度とほぼ同じ角度で毛根が頭皮内に埋まっています。このような状態であれば目に見えていなくても毛根を切断することはまずありえません。
ところが、次の画像を見てください。
頭皮の中では、表面に見えているのと違った角度で曲がって根を張っています。このような場合、髪の毛の方向にそのままチューブパンチを挿入していくと毛根を途中で切断することになるのです。
Source:https://i2.wp.com/hairsite.com/
「直毛」の人であれば、かなりの確率で頭皮の中も毛根はまっすぐ根を張っていますが、直毛ではない通常の髪の毛の人、「くせ毛」の人は、頭皮の中でかなりの確率で毛根は曲がって根を張っています。
たとえば1,000本採取するとして、頭皮の中までまっすぐに生えている髪の毛が700しかなければ、残り300本は採取中に毛根を切断させてしまう可能性があるのです。
FUEでは「神の腕」と呼ばれる名医でもドナーロス率は15%くらい、中堅の植毛医で25%、新米医やFUEの一種であるロボット植毛だと4割以上ドナーロスさせてしまいます。このようなことが起こるのは、頭皮の中で髪が曲がって埋まっているからです。
Source:i0.wp.com/hairsite.com/
FUTは目視しながら株分けするのでドナーロス率が低い
このFUEのドナーロス率の高さを改善するために生まれたのが、最新の植毛法であるFUT(エフユーティー)。英語圏では「ストリップハーヴェスティング」、日本では和製英語で「ドナーストリップ法」と呼ばれています。
FUTでは高さ1.5cm幅20cmくらいの範囲を医師がメスで切開して頭皮ごと先にはぎ取り、はぎ取った頭皮を看護師が顕微鏡で確認しながら、髪の毛を分けていきます。これが「株分け」です。
※下記動画(1分18秒~)を参照ください
動画にあるように、髪の毛の曲がり方は目視できているので、株分けするときに切断させてしまうことはまずありません。FUT(ドナーストリップ法)がFUEよりもドナーロス率が明らかに低く済むのはこのためです。
FUEは構造的な弱点を抱えている
話をFUEに戻します。
チューブパンチを使って後頭部から直接毛根を採取するFUEは、ここまで説明してきたように「構造的な弱点(目視できない箇所を切開していく)」を抱えた術式です。
医師の腕がうんぬん、ロボットの精度がうんぬんという問題以前に、目に見えない頭皮下で不規則に曲がっている毛根の周辺を切開してくので少し大袈裟な例えかも知れませんが、FUEはある種スイカ割りのようなもの。
アスク井上クリニックの井上院長がいくら「植毛界のレジェンド」と呼ばれようと、頭皮下を「透視」できるわけがありません。ロボットも同じです。透視できない以上ドナーロス率が高くなるのは自明の理。
親和クリニックの植毛技術は決して低いわけではなく、平均的なクリニックよりは高い水準であろうことは私も知っています。ただし目に見えない場所を切開していくFUEという植毛法を採用している以上、当ブログとしては「おすすめできません」という評価です。
まとめ
姫野先生、大原さん、詳細な解説ありがとうございました。
アスク井上クリニックや親和クリニック、あるいはロボット植毛を採用しているクリニックからクレームがくることがほぼ間違い記事ですが、それゆえにこれらのクリニックが気になっていたあなたにとって参考になったのではないでしょうか。
余談ですが、「プロ患者」の大原さんは、各クリニックの裏データを全部持っています。
大原さんは、改定された医療広告ガイドラインに思いっきり抵触するような広告宣伝のキャプチャーや、かつてアスク井上や親和が手を染めていたyahoo!知恵袋での「営業活動」など含めて相当数の証拠を握っています。
さすがに週刊文春とまではいかなくても、週刊現代や週刊朝日くらいなら十分に興味を持ってもらえるネタを着々と積み重ねていて「いつでも戦闘OK」の状態になっているそうです。
技術をディスっているわけではない
アスク井上も親和クリニックも、植毛医の腕が悪いわけではありません。
そうではなくて、販売促進部門の暴走だったり、FUEという植毛法の構造的な問題といった医師の腕とは関係のない部分でのデメリットが多いだけで、そのデメリットをきちんと理解した上でならアスク井上や親和クリニックで植毛することは全く構わないと思います。
ただし、ロボット植毛はやめたほうが賢明です。いまのところ良い材料がほぼ一つもありません。アスク井上の井上院長に言わせれば「あれ(ロボット植毛)はおもちゃです」と断罪しているので、「今は」手を出さないでください。
以上
昨年の8月にFUE2500株を行いました。
植毛直後は皆さんと同じようなルートでショックロスも経験し、植毛後4ヶ月くらいの12月で「おっ、黒くなってきた?」と感じましたが、植毛後6ヶ月の今はショックロスと同じくらいのスカスカ具合になってきました。2回目のショックロス?と思い少し不信感を感じていますが、このサイトを発見し、もっと早く見ていれば‥と後には引けない後悔をしています。植毛後一年強で生えそろうという所からまだ期待はしてもいいのでしょうか?
返事が遅くなってしまい申し訳ございません。1年強で生えそろうのは「かなり早いほう」になります。平均すると1年半弱で遅いと2年超えることもありますので。フィナステリドやミノキシジルの服用具合が分かりませんので何とも言えませんが、ショックロスが2回目ですか。あまり聞いたことがない症例なので休止期と重なったような気がしますね。